ARAIA -クローゼットより愛をこめて-

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『猟銃』@渋谷PARCO劇場

中谷美紀さんが舞台に初挑戦という事で話題になったこの作品。
もともと女優として中谷さん好きな私としては、見にいかない訳にはいかないでしょう!

猟銃
猟銃

もぉ~素晴らしい!
今年の観劇作品の中で、ナンバーワン!って言っても過言ではない程、本当に素晴らしい作品でした。
非常に洗練された美しい舞台にぐいぐい惹き込まれてしまいました。
満を持して、舞台に挑んだ中谷さんの演技も素晴らしく、初舞台とは思えないほど!

てな事で、大満足の舞台の私的感想を。

ある詩人が見知らぬ男三杉穰介との偶然の出会いを語る。
勤め人で平凡なハンターである穰介は、3人の女からの3通の手紙を詩人に託す。
最初の手紙は彼の愛人の娘からのもの。人生に幻滅した若い娘は、母親の日記を見つけ、穰介と彼女の母親の情事のすべてを知ったと書いてきた。
2通目は彼の裏切られた妻からのもので、始めから彼の不貞は知っていたと言い、彼女自身の数々の乱行を語ったうえで、離婚してほしいと言う。
最後の手紙は彼の愛人からで、「これをお読みになる頃には、私はもう死んでいるでしょう」という恐ろしい一行で始まっていた。


冒頭でも言ったように、私的には今年ナンバーワンって言う程、素晴らしい作品でした。
3人の女性を演じ分けた、中谷美紀さんの演技が素晴らしかったのはもちろんの事、
舞台効果も美しくて、3人の女性ごとに舞台の表情が変わっていくのがお見事でした。
今回の舞台の演出を行ったのは、カナダ人のフランソワ・ジラール氏
以前に観た「春琴」の時にも感じた事ですが、外国人演出家による「日本の様式美」の表現は、日本人以上に美しく、また日本人が気づかないものを表現してくれるという事を改めて感じました。

開演前から会場には”ゴロゴロ”という雷の音。
開幕直後、真っ暗になった会場に”ザー”と音が鳴り響き、本水での雨が降り始めました。

<薔子(しょうこ)の場合>
舞台上には蓮の花が咲き、先ほどまで降り続いていた雨水が溜まって池が出来ていました。
おさげ髪にメガネ、地味な色合いのブラウスとプリーツスカート姿の薔子は、真面目でウブな少女といった印象。
1本、また1本と線香に火をつけ、手を合わせて拝んでいる。
自分の事を「わたし」ではなく「しょうこ」と名前で呼ぶあたり、大事に育てられた”いいとこのお嬢さん”といった感じ。

手紙を読みあげている薔子の声は、とても可愛らしく幼い感じでした。
実の父親は、死別した訳ではなく父の浮気で離婚していたという事。
重い病の母がつい最近亡くなったが、病で息絶えた訳ではなく、服毒自殺をしていたという事。
母が亡くなる数日前に母の日記を読んでしまい、「おじさま」と慕っていた穣介と母の13年間もの不貞関係を知ってしまった事。
時には早口に、でも明瞭な声で話す薔子は、冷静を装いながらも、いささか興奮しているのが伝わってきました。
そして、「もう二度とおじさまとは会いたくない」という言葉で締めくくられた手紙は、薔子から穣介への”恋文”だったのでしょうね。

<みどりの場合>
照明が少し暗くなり客席に背を向け服を脱ぎ捨てた瞬間、真っ赤なスリップドレスを着て髪を無造作におろした女がそこに立っていました。
そして先ほどまで咲いていた蓮の花や雨水が舞台奥に引き込まれていき、代わりに玉砂利が敷き詰められた床が現れました。(この舞台転換にはビックリ!)
話し方は先ほどの薔子と比べ、やや粗々しく、力強くハッキリとしていて、キツめの女性といった印象。
最初はバーのママか何かで、穣介の別の浮気相手だと思っていたので、妻のみどりだと判った時には、いささか違和感がありました。
薔子が語る”みどりおばさま”は、スポーツでもなんでも上手くこなし、頭もよく、”完璧な女性”というイメージが私の中でも出来上がっていたので、
”はすっぱな女”の雰囲気が自分のイメージとかけ離れてたのです。

みどりの手紙の告白は、さらに私のイメージを崩していき、、、(笑)
自由奔放で自分自身もかなり浮名を流してきた事、夫である穣介と彩子の不貞関係を10年以上も前から知っていた事、彩子が亡くなる前日に見舞いに行き、二人の関係を知ってた事を本人に告げた事など、淡々とそして時には感情を露わにして読み進められていきました。
全てをさらけ出した結末は、離婚して欲しいとの、最初で最後のみどりから夫への願いでした。
夫に浮気された妻という意味では同情するに値するんでしょうが、10年以上も夫の浮気を知りながら、その事を隠し続け、復讐するかのごとく、自分も自由に遊んでいた事を思うとかなり”したたかな女”だと感じましたねぇ。
とは言え、彼女もまた穣介の事を愛していたんだろうなという事が伝わってきて、なんだか切なかったです。

<彩子の場合>
また照明が少し暗くなり客席に背を向けていた彼女は、真っ赤なスリップドレスを足元に脱ぎスリップ一枚の状態で立ちすくんでいました。
そして玉砂利が敷き詰められた床板が舞台手前から1枚ずつ返されていき、砂利が音をたてて奈落に落とされ、竹(かな?)の床が現れました。(この転換にもビックリ!!)
彩子の話し方は、物静かで落ち着いていて、ある意味”腹が据わった女”といった印象。
かなり長い間、客席に背を向けスリップ姿でセリフを話していたのですが、クルリと客席に向かい脱ぎ捨てた赤いドレスをたたみ、
天井から降りてきた箱に入った着物を身に着けていきました。
舞台上は一層と暗くなり、かろうじて彩子の顔だけが照らされている状態。っと、箱の傍らに座っていた彼女がスリップも脱ぎ捨て、
静かな動作で肌襦袢を着ていく様子がなんとも美しく、色っぽく、エロティシズムを感じてしまいました。
終始、セリフを話しながら着物を着ていくんですが、着付けの手さばきも美しく、いやぁ~ほんとお見事です!!
真っ白い着物に、照明によって模様づけられた青いモミジの柄が美しく、見惚れてしまいました。

彩子の手紙は穣介にあてた「遺言」であるが、その内容は衝撃的なものでした。
不倫をみどりに知られたら死のうと思っていた事、薔子に日記を燃やしておいてと頼んだ時には死を決意していた事、そして実は、今でも別れた夫の事を今でも愛している事。
穣介と二人で「悪人になろう。どうせなるなら大悪人に。」と誓い、周りの人を騙していたが、一緒に悪人になったはずの穣介を騙していたとは。
さらに、別れた夫が再婚した事を知り、生きる希望を無くして「死」を決意したと綴られた遺言は、穣介にはかなり衝撃的だっただろう。
着物を全て着付け終え、穣介に全てを告白し終えて、彩子の遺言は終了する。

-愛される倖せ 愛する苦しみ-

穣介に愛され、別れた夫を愛し通した彩子は、倖せだったのでしょうか。

今回、一人で三人の女性を演じ分けた中谷さんも素晴らしかったですが、終始、舞台奥で猟銃を手入れしたり、苦悩の表情を浮かべ、パントマイムのようにゆっくりと演技をし続けていたロドリーグ・プロトーさんにも大拍手です。
いやぁ~、本当に良質な作品を観れて幸せでした。

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