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ARAIA -クローゼットより愛をこめて-

『シダの群れ』@渋谷シアターコクーン

昨日も飲み会で渋谷に来たばかりですが・・・。(笑)
雨がザーザー降る中、ビショ濡れになりながら行ってきましたよ。

シダの群れ
シダの群れ

いつも賛否が両極端に分かれる岩松了作品。
私的には「否」のほうが多いので心配してたんですが、、、
今回はOK!(笑)
任侠世界を堪能してきました。

ってな事で、私的感想を。

組長が病に伏している。
現在は、組長の片腕で、かつて香港でマフィアの一員だったという噂のある水野が仕切っているが、ある日、大事件が発生する。
組長の孫が、敵対関係にある組によって人質に取られたのだ。
その原因をつくってしまったのは、下っ端チンピラの森本。
水野が決行を命じた銃撃戦の末に孫は戻って来るが、この事件によって組の将来の問題が一気にあぶり出される。
組長の息子のツヨシ。ツヨシの妻と愛人。組長の長年の愛人で、今は水野に明らかな秋波を送る真知。
その息子で、組員から厚い信頼を得ている人格者のタカヒロ。そして水野、森本。
それぞれの立場で、かつてない切実さで、組の未来と自分の幸せを考え始める彼ら。
問題は、それがどれもが少しずつ別の方向を向いていることだった。
やがて、その違いがはっきりと思い知らされる出来事が起きる。その時、現実から最も遠い理想を抱いていた森本は・・・。(公式サイトより)


舞台セットは倉庫を改装した、とある組の事務所。
そこへ刑務所から出所してきたばかりの男が登場し、ストーリーが展開していきます。
組同士の抗争でのドンパチもあり、窓ガラスが割れるは、看板は吹き飛ぶは、神棚は破壊されるはで、かなり興奮しちゃいました。(笑)
今回の作品はヤクザもん達の跡目問題の内部抗争を描いた任侠ものという”男たちの話”になっていますが、実はその内部抗争の糸を裏で操っている”女たちの闘い”のほうが逆に面白かったなぁ。
ってな事で、主なキャストについて、私的感想なんぞ。

江口洋介さん:タカヒロ(組長の別腹の子)
いやぁ~!江口っちゃん格好いい!(笑)
背が高いから舞台映えするし、派手なサテンのシャツにスーツという姿もよく似合っててGood!でした。
でもヤクザというよりは硬派で不器用な男って感じに見えちゃったなぁ。
組のために罪を被し3年間服役するような忠実な男で、部下からの人望もあるいい男♪
かつての恋人が他の組の組長に娶られ、今もなお忘れられずにいるところなんか一途なのね。
それに直接態度で示した訳じゃないけど、母親のことも大好きって雰囲気が漂ってました。
そんな「人間臭い」男だからこそ、森本に慕われていたんでしょうね。

阿部サダヲさん:森本(下っ端ヤクザ)
サダヲちゃんはやっぱりムードメーカーだなぁ~。
舞台に登場した瞬間から、観客の視線釘付けで、笑いの中心になってました。
サダヲちゃんのチンピラ役っていうのは、なんだか似合うなぁ。(笑)
早く一人前になりたい!アニキ(タカヒロ)の役に立ちたいという熱い思いは持ってるが、全て空回りしてしまう要領を得ない男。
彼もまた組の跡取り抗争に翻弄される一人だね。
水野に責められ、流し台にスッポリお尻がはまるシーンはなんだか可愛かったなぁ。
組長の葬儀の後、みんなで寿司を食べるシーンでは、口いっぱいに寿司を頬張り、ふっと見せた「ドヤ顔」に大爆笑でした。(笑)

小出恵介さん:ツヨシ(組長の長男)
舞台で拝見するのは初めてです。(「から騒ぎ」はチケット戦線に玉砕・・・)
今回は組の若頭ってことで雰囲気はばっちり合ってましたね。
若さゆえ、乱暴で真っ直ぐに突き進んでしまうツヨシのキャラを好演してました。
跡目を継ぐのは自分だと思ってはいるものの、人望あるタカヒロに対して焦りを感じている。
自分には人望がない(組をまとめる力量不足)を自分でも感じているからこそ虚勢を張って、威張りちらしているなんだか小さい男だね。
子煩悩で息子を可愛がってはいるんだけど、正妻との関係は冷め切ってるねぇ。
だから愛人もいる訳だが、その愛人への愛情もあまり感じられなかったな。

風間杜夫さん:水野(組長の片腕)
TVや映画ではおなじみですが、舞台では初です。
どうしても「蒲田行進曲」の銀ちゃんのイメージが付きまといますが、、、味のあるいい役者さんですよね。
この水野は、組長に「命」をもささげた忠実な男。
組のためなら可愛い部下(タカヒロ)をも犠牲にする、冷酷な面も持ってるんだけど・・・。
「コーヒー飲む?」が口癖になる程のコーヒー好きで、それが妙に可愛らしかった!(笑)

伊藤蘭さん:真知(組長の愛人でタカヒロの母)
最近、舞台で頻繁に活躍されてますね。
たて続けに3作品(「怪談 牡丹燈籠」、「東京月光魔曲」、今作品)観てるなぁ。
組長の愛人って事でしたが、和服姿も似合ってて”極妻”の雰囲気満載でした。
愛人という立場で子供を産み、その子供であるタカヒロに跡目を継がせたいという母心が伝わってきましたねぇ。
水野のことを少なからず想っていて、なんとかその気にさせようとしたのも跡目抗争を有利にする為かな。
コーヒー・ルンバの曲に合わせて踊るシーンは、面白くて笑っちゃいました。(霧吹きシューって。)

江口のりこさん:リン(ツヨシの正妻)
舞台で何度か拝見してますが、なんとも言えないほどの存在感のある女優さんですねぇ。(背が高いってだけじゃなくてね!)
ちょっとクセのある役柄がとても似合います。
そういえば、、、組長葬儀後の寿司を食べるシーン。
口いっぱいに寿司を頬張り「ドヤ顔」するサダヲちゃんは、明らかに江口さんを笑わせようとして、そのドヤ顔のままクルっと振り返ってました。(笑)
必死に笑いをこらえようと頑張ってた江口さんに同情します。

黒川芽以さん:ヨーコ(ツヨシの愛人)
なんとも可愛らしい人ですね。
舞台は初めて拝見しましたが、声も通るし、セリフも聞き取りやすいし良かったですね。
で、今回の役柄はツヨシが京都の花町から連れて来たという設定なので、京都弁で話してましたが、
”いかにも”って感じが逆に新鮮で私は好きでした。
ツヨシの子供を身ごもり日に日に大きくなるお腹。
愛人という立場ゆえ、正妻からの静かなる攻撃が日に日に身にしみてくる。
次第に精神的に不安定になっていき、そして、、、。

組長が予想よりも早く亡くなったのには、真知が絡んでいた。
一日でも早く、息子であるタカヒロに跡目を継がせたい一心でのこと。
しかし水野の口から出た言葉は、ツヨシを次期組長にするいうものだった。
しかも裏ではタカヒロを暗殺しようとする不穏な動きを見せる。
その怪しい動きを察していた森本だが、タカヒロに知らせることはなかった。
組の意向を悟ったタカヒロは、何も気付かぬふりをして策にはまる。
組の跡目問題を目の当たりにしたヨーコは、”愛人の子供”という立場や存在価値をいやという程、思い知らされる。
臨月を向かえ、出産まであとわずかというある日。
拳銃で自分の頭を撃ちぬき、自殺してしまう・・・というところで幕。

なんだか救いのないラストに胸が締め付けられるようでした。
銃での自殺シーンは、すごくショッキングで印象に残っています。

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