ARAIA -クローゼットより愛をこめて-

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『表に出ろいっ!』@池袋東京芸術劇場

野田さんと勘三郎さんが初めて舞台で共演!
しかも夫婦役ってことで話題になったこの作品。
激戦だったチケットを握り締めて、観に行ってきましたよ~!

表に出ろいっ!
表に出ろいっ!

いやぁ~笑った!笑った!
勘三郎さんと野田さんのハジけっぷりがとにかく楽しくて♪
でもなんだか考えさせられてしまう事もあり・・・。
今日の娘役は黒木華さんでした。

ってことで、私的感想に興味のある方はどうぞ。(めちゃくちゃ長いよぉ)

人間のレゾンデートル(=存在理由)を思索する哲学という学問が廃れてしまった。
けれども、人間は何かしら生きる意味を見出さないと、生き難い。
その空白を埋めるために、自らの趣味嗜好に過剰な価値を置く。
「はまる」という現象。何かにはまってないと生きてる気がしない。

換言すれば、偏愛。しかも、その歪みにも気付かない。疑うことすらしない。
これはすでに信仰に近い、ただの趣味嗜好なのに。
アミューズメントパークを偏愛する父、アイドル系を偏愛する母、ファーストフードを偏愛する娘。
そんな3つの偏愛が混在する、鎖でつなぎ合わないと成立しないほど、バラバラな家庭の物語である。(公式サイトより)


舞台上はとにかくカラフル!
多彩な色のストライプ模様に塗られた壁は、ちょっとドぎつく感じるほど。
客席はその舞台をL字型に囲うような感じで配置されていました。
舞台のコーナーには謎の鉄柱があり、(なんだろう?)と思いつつも芝居が進むにつれ、大事な役割を果たしていくんですが・・・。(笑)

飼い犬のピナ・バウシュが今夜にもお産をしそうだというある日の夕方。
仕事で外出しようとする父と、何ヶ月も前から留守番を父にお願いしていたからと母も外出しようとする。
この2人の留守番の押し付け合いが始まり、やがて激しいバトルに展開し、そして娘も加わって・・・。
ちょっと余談ですが、飼い犬の「ピナ・バウシュ」って名前。
なんかどっかで聞いた事あるなぁ~と思い、帰宅してから調べたらドイツの有名なバレエダンサーですよね。
なんで「ピナ・バウシュ」という名前を、犬の名前にしたのか非常に気になるところですが。(何かの意図あり?!)
魅力的なキャストの私的感想を。

中村勘三郎さん:父
職業は能楽師。
アミューズメントパークの「ディスティニーランド」が大好き!
人気キャラクターのマッキー・ミウスは生きてると言い張る程、信じ崇拝している。
青系ストライプの着物姿に「花形満」by巨人の星(古っ!)のような髪型で登場した瞬間・・・笑いました。
これがねぇ意外にも似合ってるのよ!(笑)
なにかと髪の毛を掻き揚げて、勘三郎さん自身もこの髪形を気に入ってる風でした。
小劇場での芝居は初めてという事で、観客と密接なこの空間を楽しんでいましたねぇ。
足に鎖をはめたまま走るわ、飛ぶわで動きまわるし、台本通りのセリフなんだかアドリブなのか分からない感じで話してるし、とにかくハジけてました。
野田さんと2人して階段から落ちたシーンでは「痛ってぇ~」と”素”で言ってたし。(笑)
仕事の約束だと言っていたのは本当は嘘。
実は「ディスティニーランド」で開催されているパレードを能仲間の有志3人で見に行くため。
いかに自分が「ディスティニーランド」が大好きなのか、マッキー・ミウスを愛しているかを切々と語る姿が可笑しかったです!

野田秀樹さん:母
専業主婦。(で、いいのかなぁ?お手伝いさんが居るって言ってたよね?)
小さい男の子達が揃ったアイドルグループの「ジャパニーズ」が大好き!
♪世界に2つ3つの花♪の歌が好きで、ジャパニーズのメンバー達にかなり入れ込んでいる。
赤系ストライプの長めのワンピースに、チリチリパーマで2つに縛った”おさげ”髪が「プードル」のようで可愛かったなぁ。
野田さんもまた、よく動いてましたね!
ちょっと甲高い声を出して、ヒステリック気味に話す様子がまた可笑しくてね。
バックの中からキラキラのうちわが出てきて、ドームでのコンサートを、
いかに楽しみにしていたか熱弁する姿が笑えました。

黒木華さん(Wキャスト):娘かなえ
ロンドン留学から帰ってきた学生。
ファーストフードの「クドクナルド」が好きで、ハンバーガーのセットに付いてくる、
キャラクターグッズのコレクター。
このキャラクターグッズ欲しさに友達と交代でお店の行列に並ぶというほど、
ハマっているようだが・・・。
どこにでも居そうな普通の女の子って感じがすごく好感もてました。
キャラの濃いぃ両親に負ける事無く、かなり激しく応戦してましたねぇ。
しかも両親よりもしっかりしてて、落ち着いてるし。(笑)

3人が3人とも留守番を押し付けあい、自分の好きなものがいかに「有意義」で「大事」なものかを主張する。
時には相手の主張を尊重して2対1の構図になったり、また相手の好きなものをけなして否定したり・・・。
2階の窓からこっそり抜け出そうとした卑怯な父を発見した母は、足を鎖で繋いで留守番を押し付ける。
観念したかのように見せた父だったが、隙をみて母の足も鎖で繋いでしまう。(笑)
そんな両親を横目に外出しようとした娘の足を、2人で協力して鎖で繋ぎ、
結局3人とも鎖で繋がれて身動き取れない状態に。(アホや・・・)
このあたりまでは、3人のハチャメチャなバトルが面白くて、大笑いしていたんだけど、
娘かなえが友人からかかってきた電話で話していた内容を聞いて、両親も驚きを隠せない。
「今夜9時に世界が終わる」と。
ファーストフードに並ぶと言っていたかなえだったが、
実はとある書道教室で行われている信仰宗教にハマっていたのだった。

(ここで「ザ・キャラクター」と繋がるのかぁ)と分かった瞬間・・・
感心したのと同時に、さっきまでゲラゲラ笑っていた事が急に怖くなってしまいました。
父はテーマパークに、母はアイドルの追っかけにと、それぞれハマっているものは違うが、
一つのものを好きになり信じている事はみな同じ。
価値観の違いこそあれ、ある意味の「信仰」と言ってもいいかもしれない。
(実際、劇中に「信仰」だの「崇拝」だの、宗教を連想するに容易いセリフが出てくる。)
それが本当の信仰宗教に「ハマった」「好きだ」「信じてる」と分かった時、
急に「怪しい」「危険」「洗脳」という言葉が浮かんできます。
かなえに「お父様やお母様が信じてるものと、私の信じてるものはどう違うの!」と言われ、何も反論できない2人。
このシーンは、(私も説明できないなぁ)っと色々と考えさせられてしまいました。
一体何が違うんだ?

教祖様から貰った、「万が一、世界が終わらなかった時に飲みなさい。」と言われた、
”生まれ変われる薬”を取り出すかなえ。
水に溶かして飲もうとするが、「それは薬じゃない!毒だ!」と必死に説得する両親。
っと、いつの間にやら、父にも薬を飲めという、かなえとの真剣勝負となるが、
躊躇する父を横目にかなえが薬を飲み干してしまう。
バタンと倒れ、動かなくなったかなえ。
慌てふためき、救急車を呼ぼうとするが、携帯電話は父が折ってしまったし、
家の電話はコードを引きちぎり部屋の隅に投げつけてしまい、
鎖で動ける範囲には何もない。
大声で助けを呼ぼうにも防音設備が整ったこの家からは、近所の人に聞こえる事はない。
このシーンでの照明の変化が秀逸!
最初は黄色っぽくなり、やがてセピア色のようになり、そしてモノクロのような無機質な感じの照明(色褪せた感じとでも言えばいいかなぁ)になっていくのを見て、
ますます救いのない世界にこの家族は居るんだっと感じました。

娘を目の前で見殺しにしてしまう絶望感にさいなまれる両親だったが、しばらくするとかなえが目を覚ます。
単に死んだフリをしていただけだったのだ。
安堵した両親だったが、現状が変わる事はなく、このままでは水1杯も飲む事ができず、助けを呼ぶ術もなく再び絶望感に陥る。
ここでまたテンション高いシーンがあるんだけど、父が「喉がかわいた!」と、
大騒ぎするのが子供っぽくて可笑しかったなぁ。
「お産の時、痛みで苦しがるピナ・バウシュが歯を食いしばる時に鎖を噛みちぎってくれないだろうか」とか、
「能楽師一家、犬のお乳で命拾い!」とか。(笑)
でもそんな中で「家の中で遭難しているみたいだ」というセリフがやけに印象に残ってます。

世界が終わらなかった事で、自分の信じていたもの(教祖様の言葉)が、
”偽り”だったと気づき、虚無感に襲われるかなえ。
一方、父は「この状況から助けてくれるなら、お前の教祖様を信じる!」という。
(結局最後は神頼み(教祖が神というのも気がひけるが・・・)なのかぁ。)と思い、
なんだか苦笑いしてしまいました。
まあ確かにマッキー・ミウスはこの状況を助けてはくれないだろうからね。(笑)

数日後の朝。
玄関のドアが開き人影が見える。
「鍵が開いてたから・・・」という男は、おそらく泥棒だろう。
しかし父は「神でも泥棒でも構わない!水を1杯くれ!」というところで幕。
この泥棒は、家族に水を与えたんでしょうか?
それともそのまま何もしないで退散したのか?
はたまた、家族が動けない事をいい事に、悠々と盗みを働いていったのでしょうか?

その答えは、私たち観客がそれぞれ”信じているもの”によって異なるのかもしれません。

「表に出ろいっ!」顔パネル   劇場入り口前に置いてあった顔抜きパネル

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コメント

今週末・・・♪

・・・に、行ってきます!!
とっても楽しみ!麗ちゃまのUPも
楽しみにしてます~~♪

かずりんさん

あら♪
今週末いらっしゃるのね!
野田さんと勘三郎さんのドタバタっぷりが、
めちゃくちゃ面白いから楽しみにしてて!

感想も頑張って書きます!

詳細な記事アップに感謝ですm(__)m

ご無沙汰していますm(__)m
私の体調もPCの調子もよくなくてブログアップが滞っていましたが、買い替えたPCもようやく始動させることができ、ようやく記事アップもおっくうでなくなってきました。
麗さまの詳細な記事アップのおかげで、観劇の記憶が蘇り、18日に観た感想を一気に書き上げることができました。ピナ・バウシェの名前も推理しましたよ(笑)
>一体何が違うんだ?......ここも考察しました。最後の最後、理性でバランスをとっているという感じがあるかどうかが盲信の宗教との差だと思うのですが、この両親の偏愛もちょっと理性の制御を超えてるかもしれませんね。
とにかく可笑しくて怖い、野田秀樹のするどさに酔った作品でした。

最後の方の勘三郎パパのセリフ
結局自分を救えるのは、他人ではなく自分だけだ・・・と思い至りつつ
自分でも自分を救えない・・・
やっぱり、自分以外の誰か・・って所が
深いなあ・・・と思いました。
>その答えは、私たち観客がそれぞれ”信じているもの”によって異なるのかもしれません。
・・・麗ちゃま、深いわっ!!さすがっ!!
本当にそうですよね・・・(しみじみ)

ぴかちゅうさん

長々と書きなぐった感想を読んでもらって恐縮です。(笑)
体調いかがですか?
季節の変わり目、ご自愛下さいね。

>ピナ・バウシェの名前も推理しましたよ(笑)
おっ!
自分ではなんでこの名前にしたのか、
推理すらできなかったので、皆さんに意見を求めてみました。(笑)
後ほど拝見しにうかがいますね。
ぴかちゅうさんの推理、楽しみにしてます!

>理性でバランスをとっているという感じがあるかどうか・・・
なるほど。
理性とのバランスかぁ。
バランスを崩した時から「盲信」になりますよね。
確かにこの両親の場合、理性の制御を超えてますね。(笑)

余談ですが、、、
アイドルとか歌手、バンドなど芸能人が亡くなったりすると、
後追い自殺をしてしまう熱狂的なファンの存在をニュースなどで耳にします。
そう思うと、アイドルのファンも新興宗教の信者も、
同じだと私は思ってしまうのですが・・・。
このアイドルにハマった母親も危ない?!(笑)

>野田秀樹のするどさに酔った作品でした。
本当にそうですね!
最近の野田作品は、様々な「問題定義」や「警鐘」の、
メッセージ性が更に強まったように感じます。
今後の作品も楽しみですね♪

かずりんさん

>結局自分を救えるのは、他人ではなく自分だけだ
そうなんですけどね。
最終的に決断をするのは自分自身なんでしょうが、
>自分でも自分を救えない
まさにこの通りで。(笑)
だからこそ人との”つながり”が大事なんでしょうね。
いやぁ~ん!哲学的!(笑)

>・・・麗ちゃま、深いわっ!!さすがっ!!
いやいや。(笑)
かずりんさんならどんなラストを想像する?
演劇を「信仰」している私としたら、ラストは、、、
その泥棒を尾行していた警官がのり込んできて、
家族は無事救出。
泥棒は一家拉致疑惑で逮捕。
ていうのはいかがでしょう?
ん~、この程度の思考能力です。(笑)

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10/09/18 野田秀樹×勘三郎+α「表に出ろいっ!」の可笑しさ怖さ

{/hiyo_uru/} 2006年のNODA・MAP公演「ロープ」のプログラムに掲載された対談で、勘三郎のNODA・MAP公演出演が約束され、ずっと楽しみにしていた。その予定よりは1年半遅れとなったが今回のNODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」でようやく実現! さらに「ザ・キャラクタ
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