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『佐倉義民傳』@渋谷シアターコクーン

今年もまたまた観に行ってきましたよー!

佐倉義民傳
佐倉義民傳

あぁ~もうね、ラストでは涙が止まりませんでした。
なんだか分からないけど、胸に、頭に、ガーンと石を投げつけられた感じ。
こんな社会風刺の作品に仕上がってるとは、思わなんだ。
まさに今、混沌とした現実日本の姿を見つめさせられるとは・・・。

てな事で、私的感想に興味のある方はどうぞ。(長いよぉ~)

下総佐倉の領主の圧政に苦しんだ領民のために名主木内宗吾が江戸へ出て、将軍に直訴する事件を扱ったこの作品は1851年の初演より数多くの名優により上演されてきました。

覚悟を決めた宗吾と渡し守甚兵衛の義心を描いた「甚兵衛渡し」、大雪の中の悲壮な妻子との「子別れ」、そして自ら将軍へ訴えかける決死の「直訴」などそのドラマティックな舞台はいつの時代も見る者の心を打ち、深い衝撃を覚えずにはいられない名作として現在でも人気を得ています。(公式サイトより)


今回の席は1階平場席。座布団が敷き詰めてあり、芝居小屋という雰囲気があっていいですねぇ~。
さすがにお尻は痛くなるけど。(笑)
舞台上には特に大きなセットはなく、役者絵が描かれた大きな幕が中央に置いてあるのみ。
あとは本物の土が敷き詰められた可動式の小さな舞台板(とでもいいましょうか)のみ。
この舞台板が農道になったり、畑になったりと、様々な場面で効果的に使われていました。

冒頭、お侍さんが庭の桜が花をつけないと嘆きながら、何かに怯え気が狂ったように刀を振り回してます。
天井からは首を吊ったたくさんの農民が落ちてきて・・・。
この時点で一気に惹き込まれましたねぇ。(一体何が始まるんだろう?)って。
と、暗転してなんだか賑やかな音楽が流れてきて、舞台上には多くの百姓の姿。
しかも、音楽に合わせてラップを唄ってるよ。
(ラ、ラップ?歌舞伎にラップかいっ!)って驚きつつも、ここでもまた惹き込まれていきました。
このラップがのちに、あんなに感動させられるとは思いもしない私でした・・・。(笑)

中村勘三郎さん:木内宗吾
領主が課した重税に苦しみ、一揆を企てる農民をなんとかなだめ、彼らのために立ち上がる佐倉の名主。
自らの私財を投げ打ってでも、農民たちを助け、励まし続けているが・・・。
争いを好まぬ”平和主義”の宗吾は、本当に穏やかで優しい人物というのが、勘三郎さんの演技から滲み出ていましたね。
農民の立場も理解し、お上の立場も理解し、、、会社で言うところの中間管理職?(笑)
双方の板ばさみになってつらい様子が、観てる私達観客にもすごく伝わってきました。
貧乏ながらも妻と2人の子供達と幸せそうに暮らしている様子が、後に悲しみを誘います。

中村扇雀さん:堀田上野介正信/おさん
農民に重税を課した張本人の領主、冒頭に刀を振り回していたのは彼です。
でも根は悪い人じゃないんだよねぇ・・・。
税金が足りないならその分、多く貰えばいいじゃん♪みたいな軽い考えしかない、いわゆる世間知らず。
上野介の息子が言い放った「(農民達が)食べるお米がないなら、お饅頭を食べればいいのに」のセリフに思わず苦笑い。
(お前はマリー・アントワネットかっ!)ってツッコミたくなりましたよ。(笑)
その息子の発言に「お前は頭がいいのぉ」と言う能天気っぷりになんだか怒りすら覚えました。

そしてもう一役の宗吾の妻、おさんも演じた扇雀さんの演技の振り幅の大きさに脱帽です。
宗吾を支え、2人の子供を素直ないい子に育て上げている、本当にいい女ですわ。

坂東彌十郎さん:池浦主計
上野介に仕えている家老で、世間知らずの領主に的確な意見を述べる存在。
彼もまた悪い人ではないと思うんですが・・・。
宗吾からの訴えを聞き入れて減税決意した上野介に苦言を呈して、再び増税に追いやった事を思うとなんだか複雑な気分です。
しかも更に宗吾を追い詰めた結果になるしね。

笹野高史さん:渡し守 甚兵衛
博打に手を出し借金取りに追われているが、通りかかった宗吾に助けられる。
笹野さん、すごくいい味だしてましたねぇ。
ラスト近くでの鎖で繋がれた舟を出して、宗吾を乗せて送っていく場面ではウルウルしちゃいました。
以前、助けられた「恩義」を自らの命を懸けてでも義理を返す男気に、なんだか感動です。
その舟乗りの場も、雪が舞い散る中、舞台上を右に左に動いてて幻想的に見えました。

中村七之助さん:おぶん/徳川家綱
甚兵衛の姪で、佐倉の貧乏暮らしから抜け出したいと願っている。
自分を捨てた母親が残した合わせ布を大事に持っていて、いつか会えると信じているが・・・。
今回は貧乏な娘って事で、派手な綺麗さはないけど、健気な娘という役でした。
佐倉の町を出て、江戸に行けば何かあるかもしれないっと駿河に頼み、連れて行ってもらうんだけど、
そこで斬られて殺されてしまい、死んでしまってから実の母親と念願の再会を果たす。
なんともまあ、理不尽で可哀想な最期を迎えるおぶんでした。

中村橋之助さん:駿河弥五衛門
ん~、最後の最後まで謎の人物。
今回のこのお芝居の”キーマン”となっているのは分かるんですが、一体何がしたかったか目的が分からなかったわぁ。
池浦に計量升の仕掛けを入れ知恵して、年貢の取立ての不正をアドバイスしたのは何故?(百姓一揆を煽るため?)
江戸に連れていったおぶんを殺したのは何故?(単に足手まといになったから?)
パンフで橋之助さんのインタビューでは「宗吾とは正反対の”裏・宗吾”と言えるような人物」とおっしゃってましたが・・・。
私には、命を懸けて農民や佐倉の町を守ろうとしているヒーロー宗吾を、妬んで逆恨みしている単細胞な男という感じにしか見えませんでした。

公方様へ直訴をした重罪人として身に覚えのない罪で追われてしまう宗吾。
それならば本当に直訴をしようと決意して家綱に訴状を渡すことができたが、捕らえられ磔の刑にされてしまう。
妻のおさん、そして2人の子供達も捕らえられ斬首の刑に・・・。
このシーンでは、必死に子供達だけは助けてくれと宗吾が涙ながらに訴えるんですが、(あぁ~”お涙頂戴シーン”だわ)と冷めた目で見ていた私。
が、、、幼い兄弟のお兄ちゃんのセリフに涙腺破壊!(笑)
「殺される所を見てしまうと弟は怖がってしまうから、弟を先に殺して下さい」と。
子供達も一緒に命乞いするかと思っていたのに、死を覚悟していたお兄ちゃん。
しかも父や母と一緒に死ねるのは嬉しいとまで言うし、おまけに弟を先にという最後の気遣い。
もぉ~、してやられましたわ。

ラスト。
出演者全員が舞台上に登場してラップの大合唱。
決して上手とは言えない歌声ですが、その体の奥からの叫びに心が震えました。
そのラップでの歌詞に再び涙腺破壊。
「繋がってんだぜ 一本道」(だったかしら?)
この言葉に、涙が止まらなくなりました。
遠い遠い昔の話ではなく、今の現代にも続いてるんだよっと改めて気付かされました。

政治の事を語るつもりはありませんが、、、
宗吾のような勇気あるヒーローが現れる事を願ってやみません。

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コメント

うぎ~~~~っ!!!楽しみっ!!
今年一番の楽しみかもっ!!
感想UP読ませていただくのは、私・・観てからになるからだから
ゆっくりでいいわ♪
(・・いつも早くしろと言っているが・・(笑))

かずりんさん

もぉ~楽しみにしてて♪
お話は暗いし、派手な演出もない今年のコクーン歌舞伎だけど、
色々と考えさせられる良い舞台でした!

感想は、、、
かずりんさんが観るまでに書ければいいんだけど。
きっとかずりんさんの感想UPのほうが早いかも!?(笑)

さすがに串田さん路線なんですね!

この演目決定に、アングラ劇団ブームの一角を担った串田さんらしさを感じたのですが、やはりそんな感じなんですね。
私はかずりんさんとご一緒に19日に観る予定です。
最近、観劇の記事アップがまた滞り気味(^^ゞ
ボチボチ頑張りますね(^O^)/

ぴかちゅうさん

今回、前知識としては、
「暗くて地味な演目」、「実在の人物の話」という事しか知らなかったのですが、
確かに暗いお話でした。(笑)
でも、劇中に奏でられる下座音楽と、
○○○(一応伏字で♪)が、いい具合にアクセントになってて、
ラストでは魂の叫びとなり、落涙してしまいました。

>私はかずりんさんとご一緒に19日に観る予定です。
あ、そうなんですね!
ぜひぜひ楽しんで来てくださいね♪

>最近、観劇の記事アップがまた滞り気味(^^ゞ
私も同じです。(笑)
5月の新橋演舞場の感想もまだ書けてないし・・・。(滝汗)
私も頑張ります!

やっぱり!

麗さん♪
私も感想書けたので、やってきました~!
麗さんもあの子役とラップににやられましたか!!
何か最近、あれ程ストレートに社会性を出した芝居も少ない気がするので
それも新鮮でしたが・・・。
ラップにエレキギターにボーカル入りの歌。やってくれますよねぇ、串田さん。

あ、小ネタで亀蔵さんが「亀のエサにするぞ!」って言ったのが私としてはツボでした(笑)。
でも本当に記憶に残る舞台でした~!

みんみんさん

>あの子役とラップににやられましたか!!
はい!
あのお兄ちゃんのセリフは反則です。(笑)
イヤでも泣けるっちゅうに。
そしてラストでのラップにもヤられましたよぉ。
途中では「Here We Go!」とか唄ってるのを聞いて、
(歌舞伎でHere We Goかいっ!)とツッコんでたのにね。
私、群衆に弱いのをすっかり忘れてました。(笑)

>社会性を出した芝居も少ない気がする
ほんと、直球でしたもんね。
現代ではまさに首相が交代した混迷した状況だったので、
見事にリンクしたなぁ~と思ってました。

例年のような派手さはなかったけど、
逆に胸にストレートに響く作品に仕上がってたと思います。

>「亀のエサにするぞ!」
言ってましたね!(笑)
亀蔵さんの小ネタもお決まりですね♪

「アングラ歌舞伎」が見事に成立!

若かりし頃に唐十郎の赤テントを観て「ああいうのを自分もやりたい」と先代に熱く語って窘められた勘三郎丈が、同じくアングラにルーツを持つ串田和美氏と組んで、今ようやくこの境地までたどりついたんじゃないかと思えます。
感想を書き上げるために中川右介さんの本の紹介もしながら演劇史の概説部分を引用して「アングラ」についてきちんと把握し、その記事もリンクをつけて、かずりんさんたちとご一緒した佐倉散策の記事も書いてとか手順を踏んでいったら5日もかってしまいました。TBもさせていただきます(^^ゞ
アングラ=反体制だし、江戸時代の歌舞伎もご政道批判要素は検閲にひっかからないように工夫しながら芝居にしていたわけで「アングラ歌舞伎」が見事に成立して感慨深かったです。
実はラップ音楽は嫌いだったんですよ。そこだけが心配でしたが杞憂でした。韻を踏んでいて共感できる歌詞だったのでノリノリになってしまいました。民衆の底辺からのエネルギーの高まりのイメージが増幅しました。ステージのオールキャストから物凄いエネルギーが迫ってきて、これこそコクーン歌舞伎の最高作品だと思えました。
弥五右衛門という架空のキャラクターをあえてつくって宗吾に対置させ、ダークサイトの狂言回し的役割をもたせたために宗吾の人間くささも強調されたり、怒りや恨みの度合いが増して荒ぶる神になった後の宗吾の力をパワーアップさせていたりするのかもと推測しました。おぶんを殺してしまうところは気に入りませんでしたけれど、どうしても魂を蝶にして雪の中を舞わせるというビジュアルをつくりたかったせいかもしれないと思ってます。串田さん、美術にけっこうこだわる方のようですからね。

ぴかちゅうさん

コメント&TBありがとうございます♪
アングラ歌舞伎、、、見事でしたね。
私も(歌舞伎にラップ?)と少々いぶかしげに思ってましたが、
なんの!なんの!!
百姓達の心の叫びがストレートに伝わってきて、感動しちゃいましたよ。
いとうせいこうさん、、、おそるべし!(笑)

>ステージのオールキャストから物凄いエネルギー
ほんとですね。
あのエネルギーは本当にすごかった!
圧倒されましたもん。

「弥五右衛門はダークサイトの狂言回し的役割」
たしかにそうですね。
宗吾と相反する立場において、宗吾の人間くささを強調してたと考えれば、その役割も納得です。

ぴかちゅうさんの佐倉散策の記事も拝見しましたよ!
観劇前にゆかりの地を訪れるなんて、
より一層、舞台での感動が深まったようですね!
私も今度、行ってみようかしらん♪

麗さま
大変遅ればせながら参上いたしました(笑)。
麗さんのレポを読ませていただくうちにいろいろな
場面がよみがえってきて、また泣きそうになりました。

元々は暗くて地味な話をあそこまで持っていき、
ラップでメッセージを表現するなんて、「ヤラレタ~」
と思いましたが、ほんとに勘三郎さん+串田さんに
つきますね。
来年は2か月連続公演だというコクーン歌舞伎、
今から楽しみです(笑)。

スキップさん

コメントありがとうございます♪
この作品は観劇してから日が経っても、
ジワジワと胸にやってくる作品ですねぇ。
私も未だに色んなシーンを思い出すだけで、
胸がグッと締め付けられます。

歌舞伎とラップのコラボがあんなにもハマるとは、
新発見&大感動でした。

>来年は2か月連続公演だというコクーン歌舞伎
来年の話をしたら鬼に笑われますが、、、めちゃくちゃ楽しみです♪(笑)

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